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2011年11月24日 (木)

まくら

えー、昔から、お前百まで、わしゃ九十九まで、なんてことを申しまして、自分も長生きしたいし、自分の家族には、もっと長生きして欲しい、てのが、人情ってもんなんですなぁ。

生き様、死に様、なんてことを言いますけど、ほんと、人の生き死にってぇのは、やっぱり、大変なことでしてねぇ。

先日も、落語界の暴れん坊、立川談志師匠がなくなりましたけどね。いや、ほんとに、大変惜しい方を亡くしたわけなんですが。

しかしまぁ、私なんぞは直接お会いしたことはありませんがね。聞くところによりますと、あの方、「60過ぎたらねぇ、死ぬことを考えて生きなきゃ、ダメなんですよ。いつ終わっても、おかしくねぇんだから。それが、知性ってもんだ。60過ぎても、いつまでも生きたいなんて言うのは、そりゃ、欲望ってぇんだよ」なんてことをおっしゃってたみたいで。

まぁ、ほんとに近頃少なくなった、物のわかった方だったんだなぁ、って思いますなぁ。

しかもまぁ、それが、なんかの大病したときの、お医者様と一緒の記者会見で、煙草吸いながら、そんな話してたってんですがね。
「煙草、良いんですか?」って、聞かれた師匠、「今さら止めたって、治るわけじゃねぇんだから、良いんだよっ! 大体、煙草止めるだの酒止めるだのってのは、意気地なしのやることだって、俺ぁ言ってんだけどね」ってなことを言ってたそうで。

いやいや、長生きが悪いってんじゃないですよ。そりゃ、長生き出来るってのは、良い事なんですがね。でも、何より、最期まで幸せに生きるってぇのが、肝心なんじゃあねぇのかってぇことだと、私なんぞは思うんですかね。

ほんとに、どう生きて、どう死ぬか、ってぇ話では、その人次第なんだと思うんですが、ほんと、あの方は、たいそう気持ちの良い生き様を見してくれたんじゃないかと、私なんぞは思ってるんですがね。

まぁ、そうかと思えば、世の中、健康ブームっていうんですかね、長生き競争みたいに、あれは体に良い、あれは体に悪い、ってんで、たいそう気になさる方も多いみたいで。

なんでも、走るのが体に良いってんで、マラソンとかいうのが、最近の江戸では人気があるそうなんですな。

江戸のマラソン大会なんてなりますと、もう、老若男女、こぞって集まって、中には妊婦や、たいそう太ったお方なんぞも走るそうでして。

私なんぞの聞いた話ですと、偉いお医者様が言うには、フルマラソンなんてものは、健康には、かえって良くないってことなんですけどな。まぁ、何事も、ほどほどが良いもので、度を過ごしたら、良くないってことなんでしょうな。

先日の江戸のマラソン大会では、何でも体重が130キロ以上もある芸人さんが参加したそうで、そしたら、やっぱり無理は良くないんでしょうな。心臓に負担がかかって、心臓発作なんですかね。倒れてしまって、生き死にをさまようくらいの大変なことになっちまったってぇことなんですな。

江戸の御奉行の石原様も心配して、「デブは走っちゃいかん」なんてことをおっしゃったそうなんですが、そしたら、世の中ってのはわからんもんですな。普段、デブは体に良くないとか、デブは不摂生で自分に甘いからだ、とか言ってそうな方々が、そろって、「人権侵害だ」とか、「デブを差別するな」とかってね・・・。いや、あんたたちの方が、普段、よっぽどデブを差別してるんじゃないかなんて思うんですが、まぁほんとに、今の世の中、難しいもんで。

ただまぁ、御奉行の石原さんも、何て言うんですか、昔から、思ったことをそのまま言っちゃうという、少々困ったお方なんですな。

亡くなった談志師匠も、これまたいい勝負で、その石原さんに向かって、「あんたもそろそろ、死ぬ時の事、考える歳だろ。もう、いい歳なんだから、いつ死んだって、おかしくねぇんだからさ」なんてことを、面と向かって言ってたそうなんですが。

まぁ、何にいたしましても、何事も、ほどほどにするがよろしいようで、その辺のことを、昔の人は偉いもんですな、中庸、なんてな言葉で言ってたようです。

良いことも悪いことも、ほどほどに。どんなに体にいいことでも、度を過ぎれば、毒になる。根を詰めすぎると、結局は、良いことはないてぇことですな。
たまにゃあ、寄席にでも来て頂いて、落とし話でも聞いて頂き、大いに笑って浮き世のうさのひとつもはらしていただければ、私どものお財布の方も、助かるてぇもんでして。まぁ、なにとぞよしなにお願いいたします。

まぁ、最近じゃ、ストレス、なんていうふうに言うみたいですな。「ストレスは万病の元」ってなことで、ま、これも、世の中が難しいことばかりになっちまったせいなんですかな。

最近じゃ、お上の方では、TPP、なんてので騒ぎになってるようですな。
TPP、知ってます? 何でもね、環太平洋戦略的経済連携協定ってので、略してTPPなんだそうで。・・・どこをどうすると、TPPになるのか、そっちの方がよくわかんないんですが。

まぁ何にしても、なにやらぶっそうな名前ですな。

最近の親御さんも大変で、こんなのを子供に聞かれちゃうわけですよ。

「ねえねえ、おとっつあん、TPPって、なに?」

「なんだおめぇ、TPPもしらねぇのか。しょーがねーなー。よし、おとっつあんが教えてやろう。TPPってのはな、秋元康って偉い先生が作った、近頃はやりの女性アイドルグループでな、選挙とかジャンケンとかやってな、だれが真ん中に立つかをきめたりするんで有名なんだよ。よーく覚えとけ」

「・・・おとっつあん、それ、AKBだよ」

ってなこともあるみたいで・・・いや、これ、私の作り話じゃござんせんよ。先日のニュースでやってたんで、ほんとのことなんじゃないですかね。・・・まぁ、最近は、ニュースってのも、あまり当てになりませんが。

それにしましても・・・・え? まくらが長い? いい加減に噺に入れと?
いやいやいや、まぁ、そうなんですけどね。

私ね、今日は、「粗忽の使者」を演る予定だったんですけどね、ここ座ったら、用意しといたまくら、すっかり忘れちまって、とりあえず話し始めたんですが、これがまぁ、どうやっても噺に繋がらなくってね、私も困ってんですよ。

なにせ、演ってる当人が、いちばん粗忽だったってなわけでして、いや実に困ったもんでして・・・。

ほんとにまぁ、そんなこんなで・・・・え? あぁ、師匠がお着きになった?

そんなわけで、三途の川で、何でも渡し賃のことでいろいろお揉めになってたらしくて、遅れてらした談志師匠がお着きになったようですんで、私の「粗忽の使者」は、またの機会ということで。

へ?何でお前みたいなヘタクソが、談志の前座を務めてるんだと?
いやいや、それが師匠方が、はやく談志の顔が見たいって、皆さんおそろいで、三途の川まで、総出でお迎えに出てしまったもんで、私みたいなのしか残ってなかったんですよ。すいませんねぇ。

談志師匠、本日の出し物は、「地獄巡り」だそうですよ。

この噺は、江戸前では「地獄巡り」ですが、元々は上方の噺でして、そっちの方では、「地獄八景亡者戯』(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」と申します。米朝師匠が、十八番にされていた噺でございますな。

まぁ、題名の通り、地獄のお話なんでございますが、その中で、あの世の寄席の前を通る場面がありましてね。

で、ここの所で、もう亡くなった古今の名人の噺家のお名前を並べるのが常なんですが、そん時に、まだ生きてる名人を、「近日来演」って言って、並べるんですよ。
米朝師匠は、そこで自分の名前を出しなすって、「米朝、近日来演」と、やられてたらしいんですが。

それで、江戸前ですと、ここ最近では、談志師匠のお名前が出るってのが流行ってたらしいんですが、本日、めでたく・・・いやいや、あの世にいらしたのをめでたがっちゃいけませんがね、ご当人が来演という運びになりました。

それにしても、談志師匠が「地獄巡り」を演られてたってのは、覚えがないんですがね。
師匠、亡くなる前は、自由にしゃべることも出来なかったってことですから、あの世にいって、しゃべれるようになったら、思いっきり大ネタをやってやろう、そうだ、どうせあの世で演るなら、地獄巡りがいいやってなもんで、病の床で、準備されてたんじゃないですかな。

ということで、お後がよろしいようですんで、私の方は、この辺で。

最後まで、どうぞごゆっくりとお楽しみ下さい。

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